【ヘアブランド研究/ルネ フルトレール①】〝頭皮=土壌論〟の生みの親は、植物に精通するフランス人美容師だった!
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目次
植物マニアの美容師が立ち上げた、フランスのボタニカルヘアケアブランド
ボリューム、うねり、ツヤのなさ、パサつき…など、髪悩みを抱える大人の女性たちの間に、頭皮ケアはここ数年で一気に身近なものになってきました。多くの女性用頭皮ケアアイテムが登場し、ヘアサロンでは頭皮クレンジングやヘッドスパが当たり前に行われている現在。今の時代の到来をまるで予言していたかのように、60年も前から頭皮と髪について研究を重ねてきた、ヘアサロン専用ブランドがあります。それが「ルネ フルトレール」です。

まずは頭皮を健やかに保つこと
ルネ・フルトレール (René Furterer)は、1950年代にパリのヘアサロンで活躍していたフランス人美容師です。今のヘアケア界で常識となっている「髪をキレイにしたいなら、まずは頭皮を健やかに保つこと」「健康な髪は健康な頭皮から」という考え方の生みの親といわれています。「頭皮=土壌、髪=作物」……その考え方の源は、彼が南仏のプロヴァンス地方で過ごした幼少期にまでさかのぼります。プロヴァンスの豊かな自然に包まれて、そこで育まれた植物を愛し、祖母から植物に対する深い知識を与えられた彼だからこそ到達できた、揺るぎない信念となったのです。
時は1950年代初頭。彼の妻の経営するヘアサロンで美容師として働いていた彼は、女性たちの髪のダメージに日々悶々と悩んでいました。実はこの時代、マリリン・モンローが世界のエンタメシーンを席巻していた頃。プラチナブロンドにカーリーヘアは、世の女性たちの憧れの的になったのです。シックを美学とするパリジェンヌまでもが、そのスタイルを取り入れるようになり、パリの彼のサロンにも、そんなクライアントが続々と訪れていました。
マリリンのようなプラチナブロンドにするためには脱色、カーリーヘアにはパーマが必要です。もし同じスタイルをしようとするなら、当時のカラーリングとパーマ技術によるヘアダメージは相当なものだったことでしょう。つまり、美容師の手によって流行の髪にしてもらった途端、その女性の髪はボロボロになってしまうのです。
なのに、当時その深刻な髪の傷みに対応するヘアケア製品はありませんでした。女性たちの「おしゃれをしたい」という欲求と引き換えに髪のコンディションは最悪になってしまう……。美容師としてそのジレンマに悩んでいたルネは、試行錯誤の末、ひとつのヘアケア製品を世に送り出します。それが、ドライヘア用トリートメント「リバイタライジングクリーム」。髪の主成分はケラチンタンパクですが、植物に造詣の深いルネは、タンパク質を豊富に含むダイズ成分をたっぷり配合。ダメージヘアの内部修復を試み、見事に成功したのです。このトリートメントは、ダメージに悩んでいたパリジェンヌたちを大いに喜ばせ、ルネのサロンはイノベーティブなヘアケアサロンとして、パリで名を馳せるようになります。


「豊かな土壌に豊かな植物が育つように、美しい髪は健康なスカルプから生まれる」
ルネは「リバイタライジングクリーム」が成功しても、今生えている髪を美しくするだけでは不完全だと考えていました。美容師として経験を積むほどに「これから生えてくる髪を美しくするには、土壌である頭皮を健康にしなくては」という強い信念もつようになっていたからです。頭皮の血行を促進し、活性化させ、ツヤとハリのある美しい髪を作るアイテムを作りたいと思ったとき、彼が真っ先に頼ったのは、やはり植物の力。幼少期を過ごしたプロヴァンスで、少年の頃より祖母に様々な植物とその効用を叩き込まれていたからです。
スカルプケア用オイル「コンプレックス 5」誕生
彼は、厳選した良質なエッセンシャルオイルをふんだんに配合し、念願のスカルプケア用オイルを完成させます。ここ最近、シャンプー前のプレケアオイルが続々とリリースされていますが、今から60年も前に生まれたこの「コンプレックス 5」こそ、そのパイオニア。日本のヘアサロンや女性たちから愛され続け、今もブランドの中核をなすスターアイテムとして人気を集めています。

プリペア、ウォッシュ、トリート。今のヘッドスパの原型を作り上げる
1957年、ルネはヘアケア専門ブランド「ルネ フルトレール」を立ち上げ、パリのサロンでオリジナルのヘッドスパメニューをスタートさせます。「コンプレックス 5」を使ったオリジナルのマッサージで頭皮を活性させ、続いてその人の頭皮状態に合わせたシャンプーで洗浄、最後にスカルプとヘアに合わせたトリートメントで仕上げ。それもまた、当時としては斬新なもの。一人一人の髪の状態を見て、丁寧にカウンセリングをし、オーダーメイドでケアをしていく、という今のヘッドスパスタイルの原型がここにあります。
ブランドが成長していくうちに、ルネは一人の人物と出会います。それが、薬剤師のピエール・ファーブル氏。ルネ同様、自然や植物に畏敬を抱き、膨大な植物学の知識をもつ人物です。1951年、南仏カストルに開いた小さな薬局から事業を始めていた彼は、自然の力を引き出した独自の製品を発信し、フランス屈指の製薬会社へと成長させた事業家になっていました。そんなピエールと、南仏プロヴァンスをルーツにもつルネは意気投合。彼に自身のブランドビジネスを託します。こうして、「ルネ フルトレール」は製薬会社の智見と、植物の力を凝縮したスカルプ・ヘアケアブランドへと成長を遂げ、今では世界60か国以上の女性たちに愛されているのです。
ルネ フルトレール オフィシャルサイト(日本語):ルネ フルトレール
ピエール ファーブル社(英語):ピエール ファーブル
投稿者プロフィール
- マチュア女性のヘア情報サイト『HAIRISTA』を監修。毛髪診断士・認定講師。化粧品販売の仕事をしていた母の影響から、美容に興味をもつ。女性誌編集部での美容担当を経て、フリーランスの美容エディター・ライターとして独立。女性ファッション誌・美容雑誌のヘアを中心とした美容ページのほか、化粧品メーカーの広告、WEBの編集・ライティングなども手がける。
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